私たちの研究活動について
アニマルウェルフェアについて
アニマルウェルフェア(動物福祉)とは、「動物の生活や死(食用目的のと殺や疾病管理目的の安楽殺)という状況における動物の肉体的および精神的状態」と国際的に定義されています。私たちの動物利用(家畜、実験動物、展示動物、伴侶動物など)を認めつつも、前述の状況に際して、可能な限り苦痛を排除しようとするものです。近年、国連食糧農業機関(FAO)では、持続可能な家畜生産の手法の一つに、アニマルウェルフェアを位置づけ、アニマルウェルフェアへの対応は世界的な流れになっています。
さて、アニマルウェルフェアとは、動物の状態を意味しますので、良い状態(Good welfare)もあれば、悪い状態(Bad/ Poor welfare)もあります。常に状態は変化するものなので、立派な飼育施設を提供しても、天気や季節によって動物の状態は変化します。もちろん、飼育施設が不適切であれば、動物の状態は悪くなると考えられますが、良い施設であっても、その施設内での動物の取り扱い方法が不適切な場合もありますし、そこでの動物の反応は大きく変化します。
そして、苦痛を感じるのは動物なので、飼育施設、そこでの取り扱い方法に対する動物の反応は様々で、変化します。したがって、動物の状態をきめ細やかに監視し、それを客観的に評価することが重要です。
また、アニマルウェルフェアは動物愛護と考え方を異にします。動物愛護の主体は人間で、そこに置かれている動物に対して人間がどう感じる(人間の感情)のか、そして、何か手をくだそうとするのか(人間の態度)を指します。
なお、私たちの研究室では「福祉」という言葉の用語から受けるイメージが日常生活における捉え方(例えば、児童福祉、高齢者福祉など)と混同されることを憂慮し、あえてカタカナ読みで「アニマルウェルフェア」という用語を用いています。
現在取り組んでいる
研究プロジェクト
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スマート技術を活用したアニマルウェルフェア対応型の
乳肉牛の飼育方式の開発
H31年度からR3年度まで、生研支援センターの研究補助事業を受け、取り組んできました。
その後も、関係機関と一緒に引き続き、研究を進めています。
あわせて、アニマルウェルフェア評価方法の検討を進めています。
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従来型ストールとフリーアクセスストールにおける
妊娠豚の行動比較と低コスト改修技術開発
R4年から、農林水産省の委託プロジェクト研究の一環として、関係機関と一緒に取り組んでいます。
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アニマルウェルフェアの国際基準に対応した肉用鶏
飼育技術の開発
R2年より、株式会社中嶋製作所様からご寄付いただいた「ナカマチック養鶏研究棟」において、研究に取り組んでいます。